














令和5年3月、確かな春の息吹が感じられる今日の佳き日、令和4年度 愛媛県立上浮穴高等学校 卒業証書授与式を挙行できますことは、我々教職員一同、この上ない喜びであり、御臨席賜りましたPTA会長様に、厚くお礼申し上げます。
本日は、在校生・教職員一同、心を込めて晴れの門出をお祝いしたいと存じます。
校長式辞
愛媛県立上浮穴高等学校 令和四年度卒業証書授与式に当たり、御来賓のPTA会長 高山 明様、そして保護者の皆様方の御臨席を得て、厳粛な中にも、温かい雰囲気のもとで、本日、卒業証書授与式を挙行できますことを心から感謝し、厚くお礼を申し上げます。
保護者の皆様方におかれましては、これまで注がれました御慈愛に対しまして、深く敬意を表しますとともに、卒業生が立派に晴れの門出を迎えられましたことに対しまして、心からお喜び申し上げます。
私ども教職員一同にとりましても、今日の日を迎えられましたことは、この上ない喜びであります。
さきほど、卒業証書を授与しました皆さん、卒業おめでとうございます。
皆さんは、本校での学業を終え、卒業の時を迎えたわけですが、今、本校で学んだ三年間を振り返り、いろいろな想いをめぐらせていることと思います。
皆さんは、令和二年四月に入学されました。すでに、令和二年三月から新型コロナウイルス感染症により、全国で、一斉臨時休業を余儀なくされていました。
令和二年度は、様々な制約のある中、学校での学びを再開し、感染症対策を積み重ねつつ、十一月には、創立八十周年記念式を挙行することができました。
令和三年度は、東京オリンピックの年でしたが、依然として、感染拡大の波に遭遇しました。学校では、県が整備した一人一台端末により、オンラインでの協働学習や個別最適化された課題の提供など、新たな学びのスタイルが確立しました。
令和四年度は、変異株による更に大きな波に襲われましたが、変異株の特性を踏まえ、感染症対策と学校行事等を両立させることができるようになりました。
皆さんの在学期間は、人類史に記憶される激動の時期であったと言えます。この間、皆さんの前向きな頑張りとしなやかな対応力に、私たち教職員は幾度となく助けられました。本当にありがとうございました。
そして今、世の中は、感染症対策におけるコロナウイルスの位置付けの見直し等が議論されるなど、社会活動の更なる再開に向け、新たな局面を迎えています。今後は、インバウンド需要の回復、生産の国内回帰、都市と地方との交流の拡大等により、自分とは異なる価値観や考え方を持つ人々との交流や協働の場面が、増えていくのではないかと考えています。
大正から昭和にかけて活躍した文学者に、武者小路実篤という人物がいます。実篤は、自我を尊重する楽天的な人道主義者として、数多くの作品を著しました。実篤がのこした言葉に、「君は君 我は我也 されど仲よき」というものがあります。この言葉は、自己の個性や価値観を肯定的に捉えるとともに、自分とは異なる他者の個性や価値観をも肯定的に捉えることで、近すぎず遠すぎず、適度な距離間で協働的な人間関係を築いていくことを説いたものと言えます。
今後の社会では、目の前の事象から解決すべき課題を見いだし、主体的に考えるとともに、多様な立場の人々と協働的に議論し、納得解を生み出していく力が 一層強く求められています。このため、本校では、地域の行政や産業界の方々、高齢の方から幼児までの多様な年代の方々との交流の中で、地域の課題を発見し、周囲と協働しつつ、自分なりの解決策を考えるという、活動を展開してきました。すでに、皆さんは、本校での学びを通して、他者と協働する力の基礎を十分身に付けられています。どうか、自信を持って、前に進んでください。
それでは卒業生の皆さん、いよいよ旅立ちの時がやってきました。皆さんは、今日を最後に、この学舎を去っていきますが、残る私達は、在校生とともに、町にただ一つの高校として、その使命を果たしていくとともに、皆さんにとっての心のよりどころであり続けたいと考えております。
今後は、卒業生として後輩たちを見守っていただくとともに、様々な立場から、本校と久万高原町の発展を支えてくだるよう、お願いいたします。
卒業する皆さんの、これからの人生が幸多いものでありますよう、心からお祈りし、式辞といたします。
令和五年三月一日 愛媛県立上浮穴高等学校長 中島 康史