新任式・第1学期始業式を行いました
2022年4月8日 09時46分
学校の様子
令和4年度愛媛県立上浮穴高等学校 第1学期始業式式辞
高原に少し遅めの春が訪れ、校庭の木々に花が咲き始めました。本日、令和4年度のスタートである第1学期始業式において、皆さんの元気な姿を拝見し、大変ありがたく感じています。
新型コロナウイルス感染症については、春休み中に、県の警戒レベルが、「感染警戒期~オミクロン株感染拡大 特別警戒期間~」から「感染警戒期」に切り替わりました。県内の感染状況等から判断され、警戒レベルが一段階下がったわけですが、今回の切り替えは、決して「緩んでも大丈夫」というものではなく、
◎感染回避行動の徹底
◎特に会食ルール等の徹底
◎感染を広げた場合の社会への影響(様々な事業活動や医療への負荷)を強く意識
この前提条件の中で、気を付けながら、社会経済活動との両立に向けて一歩を踏み出すものであります。これらの前提が守られなければ、元の厳しい対策に戻らざるを得ないという意識をもって、気を緩めることなく、基本的な感染回避行動を継続するようお願いします。今後の学校における感染症対策や学校活動のあり方については、後ほど、担任の先生等を通じて、お伝えすることとしています。
さて、春は、別れと出会いの季節であります。本日は、新任式において、新しい先生方と出会いました。午後には、入学式において、32名の新入生を迎えます。2、3年生の皆さんには、中堅学年として、最高学年として、それぞれの役割を果たしていただくとともに、新しい学年での学びを、先生方と力を合わせて進めていただきたいと思います。
年度当初に当たり、近江商人のお話をしたいと思います。近江とは現在の滋賀県の旧国名であり、近江の商人は、最も古いブランド力をもった商人集団です。彼らは、地元で産物を仕入れ、他国に売り歩きました。行く先々で商品を販売し、その対価を得ます。お金の状態で近江に持ち帰れば、荷が軽くなって楽なことだったでしょう。しかし、彼らは、他国の産物を現地で仕入れ、それを近江への帰り路で販売し、更に利益をあげました。お金は天下の回りものという言葉があるように、貨幣は流通することに意義があります。彼らが売り先で産物を仕入れることで、その地域に貨幣が残り、その後の取引の活性化につながったことでしょう。また、近江商人に対する信頼も勝ち得たことでしょう。こうした彼らの商法は、「鋸商ひ」「のこぎり商法」と呼ばれています。自らが利益をあげるだけでなく、取引先に喜ばれることを重んじ、更には地域の活性化にも貢献する彼らの姿勢は、後世、「三方(さんぽう)よし」と呼ばれるようになりました。「三方よし」とは、「売り手によし」「買い手によし」「世間によし」の三つの「よし」をまとめたものです。
近江商人のあり方は、現代におけるCSR―企業の社会的責任―や、過疎地域の活性化策にも通じる、古くて新しいものといえます。皆さんの今後の農業クラブ活動や「総合的な探究の時間」等における探究活動において、「三方よし」の考え方を参考にしていただければと思います。また、皆さんが、卒業し社会人となったとき、「自分の幸せ」「相手の幸せ」「社会への貢献」が同時に実現すれば、素晴らしいことであると思っています。
最後になりますが、春という季節を表す英語は、御案内のとおり、spring であります。英語の spring ということばには、「春」以外にも、「ばね」「泉」「はねる」など多くの意味があるとのことです。活力あふれるこの季節に、皆さんが、一段の飛躍をされることを祈念するとともに、先生方に、引き続きの親身で丁寧な御指導をお願いし、式辞といたします。