海外研修3日目
2024年8月6日 09時16分「人間が自然にどう関わるか」「人が森をどう扱えばよいか」
これに対する答えは国によって違うし、同じ国でも時代によって違います。その時、その場所に生きている人の価値観で決まるからです。
ドイツの森林への取組は先進的であると言われますが、
ここシュヴァルツヴァルトでは、1900年頃、
森林の過剰利用(モミの木やブナの伐採)→トウヒの植林→トウヒの一斉林
という流れができ、「これではいけない、様々な木が生え、多様な生物が生息する森に戻したい」という反省から、「多機能な森林像」を目指す価値観が生まれ、現在の森林への取り組みがあります。
今日は終日、現地森林官(フォレスター)のミハイル・ランゲさんにお世話になり、多機能森林業を学びました。「自然が文化を形造り、文化が自然を形造る」というのが本日のテーマでした。
午前中は「多機能な基幹道づくり」について学びました。森へアクセスする道が森を管理するうえで最も重要であること、また一度作った道を維持するための具体的な仕組みや方法を実際の林道で分かりやすく説明していただきました。
午後からは所有者が異なる二つのトウヒの一斉林が隣接した場所に行き、森を観察しました。一方は何もしていない一斉林、そしてもう一方は間伐をした(人間が手を加えた)一斉林です。明らかに後者の森に、多様性を取り戻そうとしている健康な気配を感じました。
そして最後に、多様性を取り戻した森に連れて行っていただきました。
一日の学習を終え、いろいろなことを考えさせられました。日本人は、どのような価値観を持って、現在森に関わっているのか。森をどうしたいのか。それが曖昧なまま、多くのスギ・ヒノキの一斉林が放置されている気がしました。地域によって様々な違いがあると思いますが、その根本を考え、共通認識を持って行動していく必要を感じました。
今日一日、涼しいはずのドイツも日中はかなり暑く、気候変動は世界の問題であるとあらためて感じました。
引率の白石先生も、この暑さで昼食時はぐったりでした。