上高今昔40(図書館)

2025年6月30日 12時25分
上高今昔

 本校の図書館は、20周年記念事業の一つとして計画され、昭和3511月完成しました。本校創設以来物心両面にわたりご尽力いただいていた井部栄治氏の寄贈で完成しました。『二十年史』には次のように書かれています。

  昭和336月、はじめてこの計画がPTA幹事会の議題に上った時には、木造建築で内部設備を含めて総工費240万円というささやかな構想であった。昭和347月年開催の第120周年記念事業実行委員会も平屋建76坪の木造建築とし、総工費2876万円、うち県費1236万円、残額164万円の地元負担は町村および凶荒予備組合に100万円の援助を仰ぎ、同窓会は32万円、PTAも父兄一人当たり700円拠出して32万円の特別寄付とすると決定。(中略)ところが「昭和349月に入って井部栄治氏が個人で建設寄贈するという有難い話に急転」「さらに11月になり工費500万円で鉄筋コンクリート造りに決定」(中略)地元負担と県費分計2466万円は図書館内部設備、図書館附属の女子便所および渡り廊下、教室改造、生徒昇降口改造、事務室倉庫新設、本館教棟廊下天井塗り替えなどに充当された。

  もともとは、県費に加え、地元、同窓会、PTAの協力を仰ぎ、平屋の木造建築の図書館を建設する予定でしたが、井部氏のご厚意で、鉄筋二階建ての立派な図書館を寄贈していただき、図書館建設に用いるはずであった予算は、他の施設の充実に回した事情が書かれてあります。こうして、待ち望んでいた独立図書館が完成したのです。

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 1枚目の写真は、完成間もない図書館です。渡り廊下が北に伸びていて、旧本館につながる構造になっていたのが分かります。

 2枚目は現在の様子です。3枚目は図書館を北側から撮った現在の様子です。旧本館を取り壊す際に、渡り廊下は残し、外壁を作って部屋を作ったのが分かります。現在2Fと1Fの半分は倉庫になっています。

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 今度は建物の内部です。1枚目は当時の図書館の中です。2枚目が現在の様子です。当時の内部は中央に伸びているストーブが印象的ですが、今はこのストーブはありません。そして当時の室内はチェスの盤面のような床が目を引きますが、どこかのタイミングでそれが張り替えられたようです。書架の様子は今も全く変わりません。

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この写真は当時の2Fの視聴覚教室の様子です。この部屋は、この後、芸術室、生徒課室を経て、現在は公営塾に使用されています。使用目的の変化が、上高の生徒の変化を象徴しているようです。

 さて、図書館ですが、南側から東側にかけて用水路に面しており、床からの湿度が高く、空調もないので書架の下方に置いていた本がどんどん傷んでだめになっていき、平成の終わり頃に一斉に本の廃棄を行ったそうです。その後、再度図書館を充実させようと、県立図書館の協力も仰ぎながら、館内を楽しい雰囲気にして、今に至ります。来年度以降は70年近くの時を経てついに空調も付く予定です。

歴史を知ると、建物自体に興味がわき、先人の思いを無駄にせぬよう、この建物を今後も大切にせねばという思いにさせられます。