上高今昔52(ドイツ視察セミナー)
2025年9月13日 04時28分上浮穴高等学校振興対策協議会の事業の一つに「ドイツ視察セミナー」があります。上浮穴高校の存続と魅力化をはかるためにこの事業は始まりました。第1回は、平成30年度です。生徒10名、引率教員3名の規模で行われました。
なぜ、ドイツなのか。それはドイツが「森林先進国」であり、森林面積90%を有する久万高原町にとって、町の活性化のヒントが得られると考えたからです。森という地域資源をいかに活用していけばいいのか、森と人との関わり、環境保護、さらには街作りや、人々の生き方に至るまで、このセミナーで多くのこと視察し、そこでの経験を持ち帰り、今の久万高原町を新たな目で見直し、今後のあるべき姿に対して提言を行うという難しい役割が参加者には求められます。
第2回は、平成31(令和元年)度ですが、令和2年度から4年度は中止となりました。新型コロナウィルスの影響です。この年代に高校生活を過ごし、セミナーに行く機会を失った生徒さんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。
セミナーは令和5年度に再開され、今年度(令和7年度)で5回目の実施となりました。
さて、第1回から、このセミナーに欠かせない現地スタッフの方がいます。Arch joint vision(アーチ•ジョイント•ヴィジョン)社の池田憲昭さんです。この方は、「ドイツ」「池田」で検索すると真っ先に検索できるような方で、日本人という基盤を持ちながら、大学卒業後ドイツに30年間在住し、ドイツの森のこと、自然保護、街作りのことに精通されています。穏やかな人柄で、ユーモアもあり頼りになる方です。会社のブログから池田さんのプロフィールを転載させていただきます。
(プロフィール) 1972年長崎県生まれ 森林・環境コンサルタント / 日独通訳・翻訳家 / 文筆家 ドイツ バーデン‐ヴュルテンベルク(BW)州 ヴァルトキルヒ市在住 Arch Joint Vision社(ドイツ) 代表 www.arch-joint-vision.com Smart Sustainable Solutions 社(日本)代表取締役 www.smart-sustainable-solutions.jp ドイツ在住25年以上。ドイツ語学文化(岩手大学)と森林環境学(フライブルク大学)の学識をベースに、2003年より、森林、農業、木造建築、再生可能エネルギー、地域マネージメントなどをテーマに、欧州視察セミナーのコーディネートやコンサルティング、日独事業のサポート、文筆活動を行う。異文化コミュニケーションセミナーのトレーナーとしても、日独企業の良好な共同作業を支援。2010年より、ドイツの森林官らと、日本の森林事業のサポートとコンサルティングを行い、2023年より、「公共善エコノミー(Economy for Common Good)」のメンバーとして中欧と日本の繋ぎ役を務めている。 (Arch Joint Vision社 ブログより)
もう一人、このセミナーに欠かせない方がいます。森林官(フォレスター)、ミヒャエル・ランゲさんです。
ランゲさんは、ドイツの森の道作り(基幹道)のことや、多様性を生み出す森作りのことを分かりやすく教えてくれます。
さて、ドイツのGDP(国内総生産)は、IMF(国際通貨基金)のデータによると約4兆6,585億ドル(約4.65兆米ドル)で、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位です。2023年に日本を追い抜き、世界第3位になりました。そうはいっても実質の豊かさでは日本のほうが上ではという意識を私は持っていましたが、実際に行くとそうではないことに気付かされます。日本は長い不況の間に、日本より人口の少ないドイツに大きく溝を開けられていました。森との関わり方だけではなく、人の働き方や、生き方まで、この先の日本のヒントになることが多くありました。
平成30年(2018年)1ユーロ130円程度であったものが、今や1ユーロ170円になって、円が弱くなっています。その関係で、ドイツ(ヨーロッパ諸国)へ行く日本人観光客は激減し、本校からの参加生徒定員も予算の都合上6〜5名程度に減っていますが、学ぶべきことはたくさんあります。長期的な視点で見れば上高のためだけではなく、久万高原町に還元できる事業であり、この取組が持続していくことを祈ります。
報告会は毎年12月頃に、産業文化会館をお借りし、久万中学校・美川中学校の生徒のみなさんにも来ていただき、総勢300名程度で盛大に行われます。今年度も予定通り行います。誰でも参加自由ですので是非ご参加ください!(今年度令和7年は12月15日(月)に実施します。このHPから申込できます)