上高今昔51(上浮穴高等学校振興対策協議会の発足と現在)

2025年9月1日 16時16分
上高今昔

 愛媛県の高校生の数は、1990年(平成2年)をピークに減少し、平成2年(1990年)と令和3年(2021年)を比較すると、半分以下になっていることが分かります(愛媛県教育委員会データによる)。

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 これに伴い、県は平成16年度から平成25年度まで段階的に「県立学校再編整備計画」を立て、県立学校の定員の見直しや、分校化について検討してきました。その中で、高等学校の適正規模を「1学年3学級~8学級を基本」とし、この基準を下回る学校は原則として「募集停止」を検討するということになっていました。

 しかしながら、これでは人口減少が著しい地域において、地域で唯一の高校が廃校の危機を迎えることになります。そこで「再編整備基準(チャレンジシステム)」として「入学生が60人以下の状況が3年続き、その後も増える見込みがない場合は、1学科2学級の学校は1学級の定員を30人、2学科2学級の学校は1学科の定員を30人とし、1学年の定員を60人とした上で、本校として存続させる。」という特例の基準を新たに提示しました。

 この基準をもとに、久万高原町に唯一の高校である上高は、平成21年度から募集定員が「普通科30名、森林環境科30名」となり、小規模ながらも本校として存続していける可能性が残されたのでした。

 「上高今昔49生徒数今昔」で示したとおり、上浮穴高校の生徒数減少は愛媛県に先行する形で、昭和50年代後半から急激に進んでおり、生徒数確保は喫緊の課題でした。同窓会もそれを危惧し、平成9年10月には同窓会主催で「上浮穴高校活性化対策会議」が開催され、久万高原町にも働きかけを行い、平成11年には久万高原町が主催で「上浮穴高等学校振興対策協議会」が設立されました。

 「上浮穴高等学校振興対策協議会」で議論が重ねられた結果、18年度からは「上浮穴高等学校教育振興補助金要領(生徒数確保に係る通学費等補助)」が適用され、平成21年度からは「久万高原町ふるさと奨学生に対する奨学金支給条例」が適用されることとなります。バス等で遠方から通ってくる生徒の交通費の援助(7割以内負担)と、町内から入学してくれた生徒への奨学金支給(月1万円の支給 選考あり)を久万高原町にしていただけることになりました。さらに、入学生全員に入学支度金7万円の支給、海外研修費用の9割の補助をしていただくなど、久万高原町には恩を返しきれないほどの支援を受けているのです。

 このように見てくると、県でチャレンジシステムという基準が設けられたこと、そしていち早く町に手厚い支援をしていただいてたおかげで、上高は存続し、現在生徒募集に全力で力を注ぐことができているというのが分かります。

 令和5年度から、本校は、「魅力化推進校」として、その基準が適用されていますが、「入学者が3年連続30人以下」で、今後も増える見込みがないという判断をされると、学校はなくなってしまいます。毎年31人以上という最低の数字は常に意識し、しかし存続だけに重きを置くのではなく、地元、町外、県外出身者が集い、他の学校にはない魅力ある教育を提供できる場を目指していきます。県の施策、町の施策、学校の自助努力がうまくかみ合うことで、自ずと上高校は存続し、町にも貢献できるのではないかと思っています。