上高今昔59(生徒出身地の変遷と地域みらい留学への参画)

2025年10月8日 16時01分
上高今昔

 次の表は、昭和55年の生徒の出身地と通学方法を示したものです。

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 全体的に見て、郡内の生徒も含めバス通学の多さ(63%)が際立っています。バス通学によって、放課後の部活動等が時間の制約を受けていたのは容易に想像がつきます。

 それにしても郡内出身生徒の数も多く、うらやましい限りです。現在は、郡内(町内)のすべての中学生の数を合わせても各学年40名~30名代であり、郡外からの生徒の入学に頼らざるを得ません。

 さて、本校は、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームが主催している、「地域みらい留学」の受け入れ高校に名乗りを上げ、令和2年度から森林環境科において学区外(主に県外)生徒の受け入れを行っています。そのために、久万高原町に立派な寮(「星天寮」)を建設していただき、教職員による舎監制度を確立させ、寮生限定の給食制度も導入しました。当初はコロナ禍の真っ最中で、多難を極めましたが、毎年順調に留学生が入学し、令和5年度からは普通科でも留学生を受け入れるようになりました。現在では30名定員の寮がいっぱいになるのではといううれしい悲鳴も出ていて、シェアハウスなど新しい住環境の構築をして、さらに受け入れ態勢を万全にしているところです。
 「地域みらい留学」とは、地方の県立高校へ、県外(主に都市部)の中学生が進学をする制度で、少子化や過疎化による地方の公立高校の魅力向上と、都市部の生徒への新たな教育選択肢の提供を目的として2018年に開始されました。「少人数教育による個別最適化」「地域課題解決型学習」「偏差値重視からの脱却」「多様な進路の実現」といったメリットがあり、全国的にも今注目を集め、留学生数も年々増加しています。

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(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォ―ムHPより)

 愛媛県では現在9つの県立高校が受け入れを行っており、9月にはその9校が独自に集まり、松山で「合同説明会」を実施して、県内の中学生にもその魅力をアピールしました。
 8月東京で行われた対面の説明会では、本校に興味を示していただいた方も多く、それが学校見学や、県が主催するバスツアーにもつながっています。

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 この写真は、今年度の東京での対面説明会の様子です。説明を聞きに来た人の中には、中学3年生だけではなく、中2・中1、中には小学生もいて、改めて関心の高さを実感しました。
 さて、本校での留学生受け入れも6年目を迎えました。今年度も県外から9名の県外生徒さんを迎え、「星天寮」もにぎわっています。安定した県外生の入学は、地元からきていただいている、久万中・美川中の生徒のみなさんにもいい刺激になっていると思います。学校も活性化しています。学校と町との交流も活発になっています。近い将来、県外から来ていただいている生徒さんの中で、久万高原町に定住、就職する人が出てくれば、この試みは直接的な地域活性化にもつながると考えています。
 近年の県外生徒の受け入れは、子どもの数が減少傾向にある町の高校と、全国的な留学熱が結びついた国が後押しする事業であり、上高、久万高原町に転機をもたらすこれまでにない大きな変化と言えるのではないでしょうか。