上高今昔33「教育目標の今昔」

2022年12月21日 16時40分
上高今昔

    この度、本校では、令和5年度の「スクール・ポリシー」を策定し、公表したところです。(→こちら

    今回の上高今昔では、教育目標の今昔を振り返ってみました。

    本校の前庭(創立40周年記念庭園)に、大きな石碑があります。石碑には、

    「豊かな人間性」

    「高い知性と自律性」

    「たゆまぬ実践力」

と、刻まれています。この石碑は、平成2(1990)年に創立50周年記念として、同窓会の皆様により建立されたものです。4~6枚目の写真は、建立当時の式典の様子です。 

    石碑の裏側には、建立の趣旨と「教育目標の碑」である旨が記されています。この三つの文言は、正式には、本校の教育目標のうち、「指導目標」に位置付けられています。(→こちら

 一見、いわゆる校訓のようにも感じられますが、校訓ではありません。本校には、校訓はありません。

 本校の前身である「愛媛県立上浮穴農林学校」(昭和16(1941)年4月~昭和23(1948)年3月)には、校訓がありました。上浮穴農林学校が開校された年は、日中戦争(1937~1945年)の最中であり、その年の12月には太平洋戦争(1941~45年)が始まるという時代にあたります。そうした時代背景の中、開校当初の校訓は、「絶対服従」「絶対正直」「絶対真剣」というものでした。

    戦後、時代にそぐわない従来の校訓は使われなくなり、昭和23(1948)年4月、新制高校として「愛媛県立上浮穴高等学校」が発足すると、新たに教育目標が定められていきます。昭和26(1951)年に確立された教育目標は、

  〇人格の尊厳を重んじ、道義信念に基づく誠実無垢の人となる。

  〇責任と義務を明確に自覚し自主独往の人となる。

  〇自由平等の真義を悟り博愛平和の人となる。

  〇世界の進展開化におくれず協調進取の人となる。

  〇学問知識の向上に精励し技術の体得習熟に精進する。

  〇空理空論に走らず人類社会の実用に奉仕する。

というものでした。その後は、文章記述の教育目標が様々に変遷する時期が続き、昭和55(1980)年(創立40周年の年)に初めて、石碑に記された三つの目標が登場し、現在まで続いています。石碑に刻まれたことにより、事実上、本校の校訓として機能しているといえます。

 本校では、今回「スクール・ポリシー」を策定するにあたり、この三つの「指導目標」を踏まえ、「スクール・ポリシー」のうち、「卒業までに育てる力」の(1)(2)は「高い知性と自律性」を、(3)は「たゆまぬ実践力」を、(4)(5)は「豊かな人間性」を、それぞれ現代及び将来に投影したものといたしました。「不易流行」の言葉のように、本校は、これからも、伝統を受け継ぎ、時代に即応しながら、教育活動を進めてまいります。

※本校の詳しい沿革は、こちら。 →沿革史